時代とともに変化してきた大学
日本経済大学は、1968年(昭和33年)に福岡県の太宰府市で誕生しました。高度経済成長が始まり進学率が高まる中で、経済・経営に特化した大学としてスタートしたんです。
そこから50年、時代の変遷とともに、入学する学生も変わってきました。中小企業が盛り上がっていた時代は、事業継承を考える中小企業の経営者の子どもたちが多かったですが、経済環境の変化と共にビジネススキルを学ぼうとサラリーマン世帯の子どもたちが増えました。
経済・経営という軸は変わりませんが、大学も時代によって、経営者の育成に力を入れたり、IT教育を重視したりと、ニーズに合わせて変化してきました。
今を生き抜く、自己プロデュース力を培う
今は過去の50年に比べて、変化の大きい時代です。その中を生き抜く学生を育てるために、大事にしていることが3つあります。
1つ目は、ぶれない自分の幹をつくること。価値観が多様化し、情報があふれる今だからこそ、自分の生き方を貫く幹が必要だと思っています。特に日本人としての幹を重視していますね。そのために教養を充実させ、自分の幹をつくる機会を提供しています。
2つ目は、実業の近くで学ぶことです。各コースごとに関連する企業と提携し、社会人の講師を招いています。インターンも強化していて、現場で学べる仕組みをつくっていますね。できる限り社会との接点を多く作って、各分野で即戦力となれる人材を育てたいと考えています。
3つ目は、世界を知ること。海外の大学との提携を強化し、世界に出ていきやすい環境を整えています。学内にも約30か国の留学生を受け入れ、多様性を持たせています。
実は私も、オーストラリアへのホームステイや、アメリカの高校に通ったことで視野が広がった経験があります。一度世界に出たことで、自分自身や母国である日本を客観的に見ることができるようになりました。いろいろな角度の視点を持って、自分がどうありたいか、世の中にとってどういう存在なのかを考えてほしいと思います。
この3つを通して、最終的には「自己プロデュース力」を身につけることを目標にしています。自己プロデュース力は、自分の才能や特技を社会でどう生かせるのかを理解し、それをPRできる力のことです。自分の幹を持ち、広い世界を知ればおのずと、自分のどのような能力が社会で生かせるのか見えてくるはずです。
時代が変わっても受け継いでいく、建学の精神
日本経済大学の建学の精神は「Lifelong Improvement through the Development of Individuality」。学生の個性を伸ばし、自信をつけて、世界に羽ばたかせることです。
学生や先生が集まってつくられる大学は、時代によって変化していきます。しかし、方法や形は変わっても、大学を貫くこの軸はまっすぐです。
学生から「これをやりたい」と言ってもらえれば、私たちは大学をあげてやりますし、先生も近くで一生懸命考えてくれる。学校をつくる一員として、みんなで盛り上げようという環境があります。
これからも、学生が自分らしい人生を見つけるための気づきや発見を提供する場として、さらに進化していきたいです。
もし18歳に戻ったら?
海外へ旅に出て、広く世の中を見てきます。特に、当時のエネルギーと活気に溢れる上海にもう一度留学して、中国語を学び直したいです。それから、世界に出ることで、自分がどうなりたいのか、世の中にとってどんな存在なのかを捉えられるようにしたいですね。海外に行くと「日本はどうなの?」と聞かれるから、日本人としての自覚も出ると思うし。あとは、親や友達、周囲の人に何をしてもらったのかちゃんと考えて、感謝できるようにします。18歳は自分が中心になりがちだけど、社会に出ると自分1人では存在できない。他者があって初めて存在するんだってことに、早く気づけるといいかな。
日本経済大学学長。学校法人都築育英学園理事長。リンデンホールスクール中高学部校長。