留学生のシェアハウス事業を考案
私は、日本経済大学経営学部経営学科で日本の経営について学んでいます。
3年生の時、学内で行われたビジネスプランコンテストに出場し、留学生のためのシェアハウスを作るというプランで最優秀賞を受賞しました。
私の考案したプランは、「空き家を利用し、留学生が暮らすために必要な家具や家電をそろえたシェアハウスを作る」というものです。私自身が日本に来たばかりの頃、様々な問題に直面したことから、それらを解決するために考えました。
例えば、不動産屋さんで家を借りる時、来日したてで知り合いがいなかった私は保証人を見つけられず、住む家がなかなか決まりませんでした。他にも、アルバイト先が見つからなかったり、予想よりも物価が高く金銭的に苦労したり、携帯ショップで日本語がわからず高額のプランに加入させられたりと、生活するうえで困ることがたくさんあったのです。
苦い思い出を抱えながら大学で経営を学んでいるうちに、辛かった経験をビジネスにして解決しようと思いつきました。シェアハウスを作れば、留学生同士が助け合って暮らせますし、家具や家電を購入するコストも削減できる。さらに、空き家を使うことで地域の空き家問題の解決にも貢献できると考えました。
このプランは、福岡県が主催する「福岡よかとこビジネスプランコンテスト」でもトップ10に選ばれました。現在はプランの実現に向け、留学生と一緒にシェアハウスをして実証実験を行っているところです。
憧れの国、日本へ
ネパールで暮らしていた幼い頃、日本で働いた経験のある父の友人が「日本人は優しい人ばかり」と話しているのを聞きました。それ以来、日本という国のことがずっと頭の中に残っていました。
ネパールの高校を卒業すると、手に職をつけるためエンジニア系の専門学校で勉強。その後、ドバイで2年間、機械の修理の仕事をしていました。しかし、ドバイは外国人への風当たりがきつく、騒がしい街の雰囲気に馴染めなかったこともあり、雇用契約の終わりを機に帰国しました。
帰国後は、日本語を勉強している先輩に出会ったことをきっかけに、ネパールにある日本語学校へ通い始めました。日本へ行きたいという思いが強くなり、経済の発達している日本の大学で経済を学び、起業したいと思うようになりました。
来日したのは、ネパールの日本語学校に通い始めてから半年ほど経ったころでした。福岡にある日本語学校で2年ほど勉強をした後、大学を探しはじめました。
手厚いサポートと留学生への配慮がある環境
日経大に魅力を感じたのはオープンキャンパスに来た時です。まずキャンパスの広さが気に入り、良い環境だなと思いました。
また、留学生が多いため、留学生向けの授業が充実していましたね。ここなら授業に置いていかれる心配もなく、安心して学ぶことができると思いました。
入学してからは、先生方のサポートの厚さに感銘を受けています。ビジネスコンテストの際、先生が社会問題の解決に取り組む企業の社長さんを紹介してくれたときは、ここまでしてくれるのか、と感動したことを覚えています。他大学にはない魅力の一つだと思っています。
一人でも多くの人の笑顔を生み出す
今後は、留学生のためのシェアハウスを作るというプランを事業化させたいです。また、母国の問題にも切り込み、ビジネスを作っていきたいと考えています。
例えば、今取り組んでいるのが、ネパールの女性の雇用不足を解決するための事業です。これは、ネパールの女性に水牛の皮を使ったベルトやキーケースなどの商品を作ってもらい、それを日本で販売するというもの。ネパールでは水牛の角は商品に加工しますが、皮は捨ててしまっている状態です。それを利用して革製品を作ることで、女性の雇用を生み出し、商品を安価で提供できると考えています。将来的にはネパールに工場を作り、海外に広く輸出していきたいですね。
私が日本とネパールの架け橋になりビジネスを展開することで、たくさんある社会問題を一つずつ解決したいと思っています。一人でも多くの人の幸せな笑顔を生み出し、後世に自分の生きた証を残していきたい。そのために今、自分にできることを精一杯取り組んでいきます。
日本経済大学経営学部経営学科4年生。3年生の時、学内のビジネスプランコンテストに参加し優秀賞を受賞。福岡県が主催するコンテストでも好成績を残した。現在はプランの事業化を目指している。